結婚準備のためにこのページを訪れてくれるシアワセいっぱいのあなたに冷や水をぶっかけるようで申し訳ないが、長いプランナー人生において「ああ、この二人長続きしないかも。」と思った瞬間が無かったかと言えば嘘になる。
新郎新婦よりはちょっとだけ(ちょっと?)年上なので、その経験分だけ多少は当たるかも知れない。
また、ウェディングを手掛けた新郎新婦のその後を追跡調査しているわけではないので、実際その二人がどうなったかを知る機会は少ないが、たまたま残念な結果を知ることもある。
いつか自分の手掛けた結婚式のその後という調査をやってみたいと思う。
統計上は人口800名に対して2名が離婚しているらしいので、私の経験が2,000組(4,000名)なので、少なくとも10名前後は離婚している計算になる。
だが、私がたまたま知った事例や実感値はもっと多くのカップルが離婚していると指ししめしているようだ。
男女問わず一方的な会話
会話が成り立っていないカップルが存在する。
表面上は会話をしているので一見すると成立しているように思える。
だが、よく聞いているとどちらかが一方的な意見を言っているだけ状態で、もう一方はそのことにあまり気付いていない。
例えば、二人で招待状の色を決めなくてはならない場合。
「俺は黄色がいいな。お前は?」
「あ、私はこっちの青い方がいいような…。」
「そうか?でも、黄色って縁起がいいっていうし。こっちでよくない?」
「うーん。そうかなあ。」
「黄色の方がきれいじゃないか?」
「●●(新郎の名前)がいいなら。」
「うん、でも本当に黄色でいい?」
「うん、大丈夫だよ。黄色も好きだし!」
「そっか。じゃあ黄色にしよ!」
この会話どうだろうか?
一見彼はとても彼女に気を遣っていて何なら優しそうにも見える。
でも上記の会話をもう一度よく見て欲しい。
彼は自分の意見を1ミリも譲ってないのだ。全く譲らず押し切った後に一応フォローしているだけで彼女が自分の意見を飲み込んだだけだ。その彼女は自分が意見を飲み込んだという事にも気づいていないかも知れない。
結果、彼女は確実にストレスをためている。
当然そのストレスはパートナーである彼から受けているのだが、前述のように彼は優しい言葉を最後にかけたりするので彼女は気づいていない。
最終的に彼女の不満の矛先は他に向けられる。
こういうカップル実は非常に多い。
このお嫁さんは「クレーマー」になりやすい。
ストレスのはけ口を外に求めるので当然の結果だ。普段は笑って許せるような些細なこともストレスが蓄積された状態ではそうはいかない。
本来、ストレスをぶつけるべき相手は隣にいるのだが、隣の彼は優しい仮面をかぶっているのでそんな時でも「俺は我慢できるんですけど、嫁がどうしても我慢できないみたいで。」とか「俺のことはいいけど、彼女の事を傷つけたことは許せない。」などといけしゃあしゃあと言ってのける。
彼女が実は一番のストレッサー(ストレスを与えるもの)は彼だったと気付くのはきっと遠い先になるだろう。
その事に気付く前に子供が生まれ学校に通いだすと見事な「モンスターペアレンツ」となる。
最近は精神的DVなどという言い方で直接的で暴力的な物言いで相手を傷つけると罰則の対象となるが、上記のようなケースは「夫婦間の問題」として一般的に表沙汰になりにくい。
さて、あなたとあなたのパートナーはどうだろうか?
家族を否定する
結婚式の打合せにおいて、お互いの両親や家族の話題はよく出る。その際に自分の家族の事をシアワセそうにあるいは楽しそうに話す新郎新婦は家族に愛されている感じがするので聞いていてとても気持ちがよい。
だが、時々自分の家族の悪口を言う新郎新婦がいることも事実だ。
「うちの母親は性格に難ありなんで。」とか「俺の親父、出来れば呼びたくないんですよ。」など。
もちろん、家族の問題は他人がとやかく言うことではないので仕方ないが、問題は「自分の家族を否定する相手の話を聞いている時の態度。」なのだ。
例えば…。
新郎:「俺は10代の頃、父とケンカして家を飛び出してしまったので、結婚式には呼びたくないんです。」
プランナー:「お父様にご結婚の事は伝えたんですか?」
新郎:「いいえ、性格も合わないし…。」
新婦:「私もそれでいいのかなって。彼からお義父さんの話を聞いてますけど、あまりいい印象ないですし…。」
プランナー:「そうですか。」
この新婦が「結婚を機会に何とか仲良くなって欲しいんですけど。」と言ってくれると安心なのだが…。
結婚とは新郎新婦二人だけのことではない、お互いの家族が新しい家族になる儀式でもある。若い夫婦のうちどちらかが自分の家族の悪口を言っているとしたらそれはそのことを理解しておらず、残念ながらいささか幼稚だ。これに対してもう一人が冷静ではなく同調や迎合しているとすると二人して幼稚ということになる。
二人が二人だけで生きていくのならまだよい。そのうち子供も生まれ家族となった時に両親との不仲というのは人生においてハンディになる。
この問題に限らず、パートナーが抱える問題に対し、すぐ同調あるいは迎合してしまうような傾向だと夫婦としての問題解決能力が低いことになる。つまりは二人である強みを生かせないのだ。
あなたは、パートナーの抱える問題についてどうとらえているだろうか?
人を見下す傾向のある人
サービス業に従事する人に対して、大きく分けると3種類のお客様がいる。
- サービスマンに対して敬意をもって接する人
- 客と店員という垣根を意識しない人
- サービスマンを完全に見下す人
常に1.や2.のお客様だけだと私たちも仕事をしやすいが、残念ながら3.のお客様は一定数いる。皆さんが思っているよりその数は多いと思う。
そもそも「彼氏(彼女)にしたくない人」というアンケートにはいつも上位にくる内容でもあるので、3.の人が結婚に至ることが出来るのかが疑問だが。
実はこれには裏があって、普段は1か2なのに、ある一定の条件が重なると3になってしまう人がほとんどだ。逆にずーっと3の人はかなり希少だ。
その条件とは、「完全にこちらは悪くない」という状態になる事だ。
この状態になると無敵モードの3へ変身してしまうのだ。
例えば、
客:「さっき頼んだビールまだですか?」
店員:「大変申し訳ありません、今すぐお持ちします!」
客:「さっきもお願いしたんだけど。」
店員:「すみません、今すぐお持ちします!」
客:「ちょっとー、まだこないんだけど!」
店員:「すみません、お待たせしました!こちらビールです!」
どうだろうか?
これは完全にお店が悪い。事故で言えば10対0。言い訳無用。
ここで、3.の人は無敵モードへ変身してしまう。
客:「一体、どうなってんだこの店は?」
店員:「すみません、ちょっと混んでいて。」
客:「言い訳すんな!混んでいて手が回らないならそもそも客を入れるんじゃないよ!」
店員:「大変申し訳ございません。ビール代は結構ですので。」
客:「なにー?こっちがいちゃもんつけてるみたいな言い方すんな!」
店員:「いえ、決してそんなつもりでは・・・。」
客:「お前じゃ話にならん責任者だせ!」
いやいやいや、ビールくらい待てばいいじゃないの。と冷静に見ている人はしらけてるはずだが、当の本人は無敵モードだ。何故なら10対0で自分が正しいから。
これを夫婦に置き換えてみよう。
例えば
妻:「ごめんなさい。あなたのシャツ、洗濯の仕方を間違えて、縮んでしまった。」
夫:「え?とういうこと、間違えないように別に置いておいたじゃん。」
妻:「ちょっと急いでて…。」
夫:「いやいや、おれだって急いでたけどわざわざ間違えないように別にしたんだよね?」
妻:「ごめんなさい。」
なんて小さい男だと思うなかれ、意外とこういう男は多い。
そして、ここで夫は自分が10対0で正しいことを確認しているので無敵モードに突入だ。
夫:「いったよねー。別で洗濯しろって?」
妻:「ごめん。」
夫:「ごめんじゃすまないよねー?」
妻:「だからごめんって言ってるじゃん!」
夫:「はあ?何キレてんの?それが人にあやまる態度?」
一生やってろと言う感じだが、かなり胸くそ悪い夫だ。
コワいのはこれらの人達、普段は1とか2の人だってことだ。
自分が絶対的に正しいという状態になった場合に相手に対してどういう態度をとるのか?
これは普段から自分のパートナーを良く観察するべきだろう。
絶対的に正しい時、相手をこてんぱんにやっつけてしまう彼は時として頼もしく見えるかも知れない。が、その矛先があなたに向けられるのはそう遠い未来ではない。
お金のやりとりが曖昧
これはかなり現実的な話。
私たちぷちばけは日本全国どこでも行くので、打合せがサロンでない場合もある。その際は新郎新婦のお宅の近くのカフェなどで打合せするのだが、時々、新郎新婦にご馳走になる事もある。
その際にカップルの間で簡単なお金のやりとりが発生するわけだが、その線引きが曖昧なカップルは心配になる。
新郎:「あ、今日はこちらが支払ますよ。」
プランナー:「ありがとございます。ご馳走になります。」
新郎:「いえいえいつもお世話になってるんで。ここ払っておいて。」
新婦:「え?あ、うん。」
ここで新郎がさっと財布を出してさっさと払う、もしくは新婦が「了解!OK!」という反応で、何も考えず自分の財布からお茶代を出したなら安心だ。何故ならお金の使い方が二人の間ではっきりしているということだからだ。
だが、新婦の態度が「別に、いいけど。」的な感じだと心配だ。
これは、二人の間でお金の使い方がまだ決まっていないという事になる。
これは時間が経てば話し合って決まっていくことの一つだが、稀にこのことについてしっかりとした話し合いを持たない夫婦がいるのも事実だ。
私たち日本人の根底に「お金のことをずけずけ言うのは下品だ。」という概念があるので話にくい事かも知れないが、これは遠慮なく話し合っておいた方がよい。
共同で管理する口座はどれか?
そこには誰がいついくら入金するのか?
など基本的なことはもちろんだが、
余暇や遊行に使う費用はどこからどう出すのか?なども重要だ。
これは結婚してからというわけでもない。
結婚の準備に入ったら早速、話し合わなくてはならない。
ロマンチックなプロポーズの後に大変恐縮だが、これを避けて通ると本当に後々厄介になるので注意だ。
もし、お金の問題について話をしてくれないパートナーだとしたら、それこそその結婚を見直すべきかも知れない。
両家の関係
ここまでは新郎新婦の問題だったが、ここからは少し違う視点の話だ。
両家の両親同士の仲が悪い場合。
決定的に仲が悪く結婚式どころではないならまた別の問題だが、両家の関係が「あまり快く思っていない関係」というくらいだと一番たちが悪い。
人間は自分の育ってきた環境や今おかれている環境が「正しい」と認識するように出来ている。だが、育ってきた環境や今おかれている環境はひとりひとり違う。なので結婚に限らず学校・友人・会社なども「似たような環境」同士でいた方が心地よい。
同じ出身大学で会社内に派閥が出来たりするのもその延長だ。
例えば
新郎家
父:中卒 現在トラックの運転手
母:高卒 スナックでバイト
新郎:高卒 工場勤務
新婦家
父:一流大学卒 商社役員
母:一流大学卒 専業主婦
新婦:一流大学卒 IT企業勤務
そもそもこの二人がカップルになる確率は極めて低いが、とてもロマンチックな出会いと冒険的なストーリーがあって結ばれたとしよう。
誰の目にも「釣り合っていない。」のは明らかだ。
だが、昨今の結婚は二人の気持ち重視なので無事結婚までこぎつけたとする。
お互いの両親も表立ってこの結婚に反対はしなかった。
だが、根底にはお互いの事を全く認めていないので時々表に出てしまう。
「ああ、あちらさんは上品だから。」とか
「うちの親戚にはそんな乱暴なこと言えないわ。」など、
直接相手には言わず第三者に対してこのような発散の仕方で表面化する。
そもそも、この不釣り合いな結婚に挑んだ二人なのでそんな事は意に介しないが、結婚後、数年たってこの問題は深刻化してくる。
そう、子供の教育方針だ。
これが両家にとって初孫だったら悲劇だ。そこまでは新郎新婦のシアワセに水をさしちゃいけないと我慢していた両家の家族が一斉に相手に攻撃をはじめる。直接ではなく新郎新婦を通して。
ここで両家族を巻き込んで醜い争いを展開するくらいなら、今のうちに「それぞれが育った環境の違い」について話し合い「良い所と悪い所」を知っておくのがいいだろう。
まとめ
色々書いた後に何だがあくまでも参考例だ。
「え、私の彼。もろにこんな人なんだけど。」とビビる必要はない。あなたが選んだ相手なのだから他にもっと良い所があるはずだ。
今日あげた問題の全ては残念ながら「夫婦は精神的対等であるべき」という概念が備わっていない場合に起きる。
人間は、どちらの家庭が裕福か?どちらがより多く稼いでいるか?どちらが正しいのか?こんなことを基準にマウントを取り合う。
これは結婚生活に限らず社会生活でもそうなのかも知れない。
だが、ならば何故「愛情」という基準で結婚相手を選んだのか?
結婚後、そんなマウントを取り合うならそもそも愛などで相手を選ぶ必要はなかったはずだ。
まもなくどちらかが息を引き取るという間際に
「結局、俺の方がお前のことを愛していたなあ。」
「何いってるんですか。私の方があなたのことを愛してましたよ。」
というマウント合戦なら素敵なのだが。