ただただ幸せで嬉しくて楽しくて感動する話、今ちょっと病んでる人は閲覧禁止のブログ!!の第二弾は、「感動する演出とは何か?」を考えてみましょうね。
ちょっと病んでる人には「だから何?」と言われること間違いなしの「私たち・し・あ・わ・せ・です!!」全開で行きましょー!!
今までどんなウェディングの演出をしましたか?
さてさて、プランナーを長い事やっていますとお客様からこんな質問をされます。
「今までどんなウェディングの演出をしたことがありますか?」(割と期待に目をキラキラさせて。)この質問、一番困る!!
そりゃ何千組・●十年(深く突っ込まない!)とこの仕事をしていれば話のネタになりそうなウェディングは沢山ありますが、結局どの話をしても当人じゃないと響かないことが多くて、「へー・・・。」みたいな感じになります。
さらに苦手なのが同業者から同じ質問されること!
「参考までにお聞きしたいんですけど、ぷちばけさんは今までどんなウェディングの演出をしたことがありますか?」(こちらは目をギラギラさせて。)
ウェディング業界のお姉さま方は「あんたどんなもんなのよ、品定めしてあげるわ。」って顔に書いてあり、一通り聞き終わると笑顔で「ヘー、ステキデスネ。」って。でも目が笑ってないんですー。こわい…。(これ実話です。)
演出の意味
さてさて、皆さんこの「演出」について、だいぶ誤解をしてませんか?
舞台に置き換えると、演出というのは脚本・演技・衣装・音楽・照明などなど全てを総合的に考え、さらには演じられない部分のストーリーや背景、場合によってはスポンサーや広告宣伝のことなども併せて、さあどうしようかという話なのです。
「パーティーの演出って何したらいいですかね?」という皆さんの質問の意味はどちらかというと「パーティー中にやるコーナーイベント、何したらいいですかね?」ということになることが多いようです。
とまあ、演出について正論を説いても仕方がないので、
今回はとにかく感動する演出(イベント)をいくつかご紹介します!!
その1:歌を歌うことなかれ!
私個人的見解ですが、新郎新婦の演奏や歌ほどゲストが困るイベントはないと思います。
もちろん、幼い頃からピアノを習っていたとか、歌手として活躍しているとか、そんな場合は是非とも聞きたいと思いますが、「この日のために一生懸命練習しました。」というパターンはいかがなものか…。その中で最も微妙なのは「カラオケの上手い新郎が情感たっぷりに歌うラブソング」。これ、本当に困ります。ゲストは困惑、新婦はうっとり。その絵図が微妙すぎてこわい。まさに二人の世界の極みですねー。
さて、そんな事をひそかに思い、新郎新婦が「歌を歌おうかと思ってます。」と言うたびに「へー、ステキデスネ。」と死んだ魚の目で答えている私ですが、「これはこれでありか。」と思わせるウェディングがありました。
そのお二人は絵にかいたようなカカア天下。
ちょっと勝気で美人のお嫁さんと「人が良い」が服を着て歩いているような旦那さま。ウェディングにおいて旦那様の意見はことごとくお嫁さんに却下され、当日つけるカフスボタンの色ですら自由に選ばせてもらえません。
とある打合せ中のこと、お嫁さんがお化粧室にいっている隙に何かサプライズをしたいと旦那様から。「この人、いい人すぎるだろー。」と思いながら「さだまさしの関白宣言でも歌いますか?」と冗談で言ってみました。(かなり笑いをとるつもりで。)
「それ、やります!」
「はい?」
いやいやいや、嘘です。冗談です。と言っても後の祭り。何故か旦那様は固く決心をしてしまったのです。
その後、打合せの度にそれとなく中止を促しましたが、旦那様の決心は固く・・・。
そして当日を迎えました。
ご両親の事をパパとママと呼んでいて意外と可愛い所があることが分かった花嫁のお手紙も終わり、いよいよ旦那様のご挨拶。
新郎:「今日はありがとうございました。ご挨拶の前に●●(お嫁さんの名前)!言いたいことがある!」(強めに。)
場内:「おー。」(どよめき)
新郎:「俺の気持ち聞いて下さい。」
場内のプロジェクタ―に「関白宣言」。
場内は大爆笑です。新郎の両親もお腹を抱えて笑ってました。
ここまでは想定内。
問題はこの後、新郎のカラオケって上手くても下手でも微妙になりがち。しかもこの関白宣言ってなかなかの長さ。場がもつのかしら・・・。
で、この旦那様、なかなかの下手っぷりでした。
ですが、時々音程やリズムをはずしながらも語るように歌うその声に場内が段々と引き込まれていくのが分かりました。
最初は新郎のことを「キッ!」って睨んでいたお嫁さんがバカ負けして笑い、
歌が三番になり、
俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
のくだりはもう涙でくしゃくしゃでした。
ゲストもスタッフも泣き笑いのそれはそれは素敵な時間になってしまったのです。(なってしまったってことないか。)
微妙になりがちな新郎新婦の歌も、人を楽しませたいという気持ちからはじまったことならありなんだなあ。と反省したウェディングでもあります。
その2:もはや演劇。
これもまた、「二人の世界」の極み。
そのお二人とお会いしたのは、まだ私が普通の結婚式場にお勤めしていた時のことです。
新規担当のスタッフから「手に負えそうにない。」と私にオファー。
何でもやりたいことが多すぎてどこの式場からも断わられたお二人とのこと。
当時からそういうお二人が大好物の私、喜んでお話しをうかがうことに。
彼等がやりたいこと(やったこと)は沢山あり、箇条書きにするとざっとこんな感じ。
・ゲストは謎の館に招かれたという設定。
・新郎は召使いと旦那様の一人二役を兼ね司会進行をする。
・新婦や呪いで館から出ることが出来ないという設定。
・その館には新郎の後についていたずらをする妖精が住んでいる。
・空中に椅子やテーブルが浮かぶ不思議な空間。
・館の中は黒い花が咲き誇り、それぞれの花の中心には目玉がある。
・パーティー会場には大きなリンゴの木が生えていて、リンゴの中には色々な指示が書いたメモが入っている。
・ゲストはその指示に従って動かなくてはならない。メモには自分がやるべきこととその前に起きることしか書いていない。
例えば、『皿の割れる音がしたら、あなたは「そうだ!」と叫ばなくてはならない。』
というように。
・旦那様(新郎)が合図すると、今まで何もなかったテーブルにデザートビュッフェが用意される。
・最後に皆で集合写真を撮るが、実は空中に浮かんでいるキャンドルが文字になるように配置されており、お見送りの時に貼りだされネタが明かされる。
・ちなみにゲストのドレスコードは「奇妙な恰好」。
「はあ?」ってなりました?
これ以外にもたくさんアイデアがありましたが、実行した一部を抜粋した感じです。もちろん最初からお二人に全てのアイデアがあったわけではなく、とにかく今まで誰も体験したことのないパーティーにしたいとのことでしたので、私も悪ノリでアイデアを出した結果です。
「私召使の●●です。今日はようこそお越し頂きました。旦那様をお呼びしましょう。旦那様、旦那様―?」
で、はじまるそのパーティーはもはや、ウェディングではなく参加型アトラクションです。
ちなみに、そのお二人は普通のサラリーマンとOLさんです。
当日の新郎新婦は主演俳優で、私は舞台監督。スタッフもウェディングというより舞台を作りあげていく感じでした。
ご両親や親族、ゲストがどう感じたかは賛否両論あったと思います。「二人らしい!」とか「楽しかった!」とか口々にいいながら帰るゲストをお見送りするご両親が「すみません。」と頭を下げていたのも印象に残っています。
私の中でも「コンセプトだテーマだ言うならここまでやりきるウェディングがあってもいいじゃないか!」という肯定派と「ゲストは本当に楽しかったのか?二人のおしつけパーティーを助長してどうする!」という否定派がいて、いまだに結論が出ていないのです。
が、間違いなくお二人の満足度や達成感は最高だったと思いますし、この先の人生いつ振り返っても大きな大きな思い出になることは間違いないでしょう。
その3:これも演出?これこそが演出?
最後にご紹介するのは、冒頭の「今までどんなウェディングの演出をしたことがありますか?」という質問に必ず私がご紹介するウェディングです。
そのお二人は、とても可愛らしいお二人でした。
打合せのたびに手をつないでサロンにいらっしゃる仲の良いお二人で「また、手―繋いでるー!」と私がお嫁さんを指でつついて冷やかすと「え、やだ!」と言いながら二人共手を離してしまうのが本当に可愛らしかったのです。
そんなお二人のご両親は両家共すでに他界されており、
お二人とも苦学の末今の会社に入社しそこで出会ったのがきっかけだそうです。
このウェディングは日ごろお世話になっている会社の皆さまと
天国にいる両親、そして何より、まだご存命の新婦のおばあさまにウェディングドレス姿を見せたいと思い立って準備をしてきたのです。
何か特別なことをするわけではないウェディングでしたがお二人の周りに対する感謝が打合せ中からも伝わってきたのが印象的でした。
とある式場のチャペルを使っての結婚式は人前結婚式。
お二人が腕を組んでそろって入場する予定でした。
いよいよ、入場前。
ドアの向こうにはおばあさまや友人、会社の仲間達が待っています。
今ドアオープンするというお二人の表情がさえません。
冴えないというより緊張で青ざめています。お二人に深呼吸を促し、少し冗談を言ったりしても、お二人の緊張は解けません。
そこで、お二人に提案です。
「では、いよいよ入場となります。お二人とも組んでいる腕を解いて。」
「え?」
「ほら、いつも通り、手をつないで入場しようよ!」
私はそう言って新婦を指でつつきました。
お二人も顔を見合わせてにっこり。
緊張が解けた瞬間にドアオープン。
入場の一番いいシーンでゲストが見たのは私のお尻でしたが、そこはご愛敬です。
「いってらっしゃい!」
「いってきます!」
あの時の彼女の笑顔はいつまでも忘れられません。
ゲストにも分からず、費用は一切かかっておらず、
これを演出と呼ぶのかはご意見あると思いますが、私の中では間違いなく「お二人らしい」演出でした。
まとめ なければないでいいんです。
いかがですか?
ほら「へー・・・。」みたいになってるし!
その感動の「か」の字もないみたいな顔!
だから言わんこっちゃない。
そうなんですよ、これ他人様にお話ししてもそんな程度なんです。
でも、共通しているのは「何か演出しましょう。」ありきではなく
お二人の中から「こうしたい。」だったり、打合せの流れの中で「やりましょう。」となったことばかりです。
皆さんも、せっかくのウェディングなので「何かしたい!」
という気持ちは分からなくないんですけど無理に何かをする必要はないですよ。
特にやりたいことがないのなら、
「私たち結婚式でやりたいことがありません!
なので今日は好きに食べて飲んで帰ってね!」
と最初に潔く挨拶するのもお二人らしい演出だと思います。
昨今のウェディングプランナーは
何だか「コンセプト」や「テーマ」みたいなものを捻りだし、
それに沿って進めていく傾向にあるようですが
そういうの大抵の人は苦手ですよね。
いいんです。
なければないで。
シンプルで!!