マリッジブルーって何?
結婚を控えたお嫁さんに時々相談を受けることがある。
曰く「ワタシ、コノママ結婚シテヨイノカナ?」。
「知るかっ!」と切り捨てるわけにもいかず「なになに、どうした?」となるわけだが、理由は「彼の両親と合わなそう。」「うまく生活する自信がない。」などの割と他人様からすると「はあ、そうですか。」的な問題だ。これが「他に好きな人がいる。」とか「実は借金が億単位である。」だと結構重大な問題になりそうだが、まあ大抵は漠然とした不安感とでもいうのだろうか、率直に言うとまさに「知るかっ!」という理由が多い。これが世にいうマリッジブルーというやつだ。
あまり真に受けて同情などしようものなら「悲劇のヒロイン」度が格段に上がってしまい小さな問題が重大な問題に発展するのを助長しかねないのでこの手の相談には「はいはい。ごちそうーさま。」とか言いながら聞き流すに限ると思っている。
しかし時すでに遅く色々な人に相談した挙句、ほどよく同情されてしまい「悲劇のヒロイン」度が熟成されてしまった人がいるのも事実だ。
ウィキペディアで調べてみるとマリッジブルーとは下記のような事らしい。
“マリッジブルーは漠然とした不安感であり、正確な定義は与えがたい。あえて概要を与えれば以下のようになる。
望んで行う結婚では当事者は喜びに満ち溢れるところだが、結婚に現実のものとして直面すると、結婚後の生活の変化や家庭を持つ責任への不安が突然に強く意識される。これがマリッジブルーである。マリッジブルーが昂じると、憂鬱から逃れるため最悪の場合婚約の破棄にいたることさえある。“
そう、正確な定義は与えがたいのだ。
というか、私に言わせるとそんなものはないのだ!
マリッジブルーなどと何やらたいそうな名前を付けてしまっているが、単純に言い換えると「新生活への不安によるストレス」でしかなく、新卒で入社する前日にも遠足に行く前日にも起こりうる一般的なストレスにしか過ぎない。
なので、「ワタシコノママ結婚シテヨイノカナ?」なんてのたまわっているアタマにタンポポが湧いている女子は心して読むように!
ストレス
マリッジブルーとはストレスである。ならばそのストレスについて知っておくべきだ。
知っているようで知らないストレス。簡単に説明すると以下のようなことになる。
人間は常にストレスを抱えて生きている。ストレスがたまると体に変調をきたす。
鼓動が激しくなったり、呼吸が乱れたり、発汗したり、蕁麻疹が出たり・・・。
その多くは自分ではコントロール出来ない体の機能、つまり自分から自立した神経が司る機能。それを失調するので「自律神経失調症」という病名が与えられる。
また、AというタイプのストレスがかかるとAの症状が出るというように決まったものではなく、個人差があり、同人物でもその時の体調や状況によって出る症状が違う。
難しいのは何となく体調が悪いからとお医者さんに行って「自律神経失調症」と診断されると病名が明確になった安心感と同時に私は今病気なんだという不安感がないまぜになり、さらに思い悩んでしまうパターンがあるということ。
基本的な病気の原因のほとんどがストレスだし、現代社会に生きる我々は常に軽い自立神経失調症にかかっているくらいに考えておいた方がよい。
さて、心理学的なお話しだがストレスには目安として点数がついている。
1位は配偶者の死83点
2位は会社の倒産74点
誰もが分かりやすく心理的負担が多い事象から順にという感じだ。
その表を順番に追っていくと
27位 300万円以下の借金 51点
27位 上司とのトラブル 51点
29位 結婚 49点
30位 同僚とのトラブル 47点
30位 引っ越し 47点
結婚が堂々の29位にランクインしている。
身近でわかりやすい上司とのトラブルと同僚とのトラブルにはさまれているのが分かる。
ここでいう上司とのトラブルは「うまく意思の疎通が図れない・尊敬できない。」などで、いわゆるパワハラやセクハラという一般的でないトラブルは除外される。同僚とのトラブルも同様だ。
つまり、結婚とは日常の社会人生活において受けているストレスとほぼ変わらないストレスを受けるものなのだということになる。
ストレスというと「嫌なこと」があった場合にだけ受けるようなイメージだが、このランクには下記のような項目も。
昇進・昇格 40点
個人的成功 38点
収入の増加 25点
明らかに「良い事」があった場合にも人間は何らかのストレスを受けていることが分かる。(これらはあくまでも統計で個人差がありすべての人に当てはまるものではないので注意。)
つまり、結婚もストレスがあって当たり前。平均すると「うちの課長、大っ嫌い!」と同じくらいのストレスというわけだ。
愛する人との結婚、幸せに向かって一直線のはずなのだからストレスなんてあるわけがないと思っているなら大間違いなのだ。
ストレスと向き合う
という科学的な根拠を聞けばあなたも「そっか!これが当たり前ってことか。」と気付いてくれたことだろう。またその事を理解するだけでも多少は気軽になるかも知れない。
仮にあなたが会社で上司とうまくいっていない場合はどうするだろうか?
1・会社を辞める
2・ただ我慢する
3・折り合いをつける
1・を選ぶ人は次の就職先が決まっているか財政的に余裕がある人。
2・を選ぶ人はいずれ限界に達し、1・を選ぶ結果になりそうだ。
おそらく多くの人がやむを得ず3・を選択するしかないのではないのではないだろうか?
まあ、社会人なので当たり前の判断だ。とりあえず我慢しながら折り合いをつけていくはずだ。
折り合いをつけるには相手を変えるのではなく自分を変えなくてはならない。なぜなら上司にむかって「あなたのこういう所が嫌いなので、ちょっと歩みよってください。」とは言えないので。上司に嫌なところがあるのなら、自分の受け取り方を変えるしかない。
「いつも説教長いんだよ!」と思っている課長に対し「そうはいってもこの人も同じ時間を使ってくれているんだな。」と受け取るしかないのだ。
しかし、あなたがそうやって歩みよってみると、実は上司もあなたとの関係について悩んでいたことが分かったりする。そして紆余曲折を経て気付けばあなたとその上司は社内でも指折りのコンビになっていたりする。
そう、うまくいかないのは最初だけだ。お互い人間なので時間を共有し続けることによって同調していくのが普通だ。
彼を上司におきかえてみるとどだろう。
そもそも好きで結婚しようとしているのだから、彼は置き換えると「かなり好印象の上司」と同じだ。それだけにあなたは「うまくいくはずだ。」と思ってしまっているのだ。しかし仕事は「好きな上司」だからといってうまくいくとは限らない。よく聞いてみたら全く違う意見の持ち主だったり、意外と頑固な性格だったりする。最早うまくいかない事は明確なのに「うまくいくはず。」という先入観が判断を狂わせる。そして小さな我慢を積み重ねる結果になり・・・結果、喫茶店で「ワタシコノママ結婚・・・。」となってしまうのだ。
所詮、彼の事など知ってるようで何も知らかったのだ。
そういうと「私は彼のことを誰よりも知ってます―!」と反論してくる女子がいるが「へーそうなの。じゃあ、あなたの彼が今何を一番悩んでいるのか教えて?」と聞けば恐らくマリッジブルーシステム真っただ中のお嫁さんには答えることが出来ない。
頭の良いお嫁さんならそこで「もしかしたら、彼も同じ悩みかも。」と気づき、そうでない
お嫁さんでも「え、実は私って彼のこと知らないんだ。」くらいは気づくだろう。
少なくとも悩んでいるのはあなただけでなく、パートナーである彼にも悩みがあり、おそらくその悩みは仲が良ければよいほど同じなはずだ。
「私、あなたと結婚していいのかわからない。」と打ち明けた時に「俺を信じてついてこい!」と言ってくれるなんてお嫁さんの勝手な妄想で、大抵は「あ、俺も同じこと考えていた。」と彼に別の決心をさせてしまうのがオチだ。
あなたがストレスなく過ごせる生活を彼に求めるのは、子供が母親に求める愛情と同じだ。大袈裟に言うとマリッジブルーであると喧伝することは「ワタシは幼児です。」と周りに言いまくっていると同じことなのだ。
あなたが大人の女性ならばそのことを踏まえ、この先の人生をどう彼と向き合っていき、どう歩み寄るかを考える良い機会であるととらえるべきだろう。
ストレスなら解消しよう
あなたが勤務先の上司を合わないとしよう。
だが、厳しい就職戦線を駆け抜けてようやく手にした就職先だ。また、その未来には希望する部署での活躍も待っているとしよう。あなたはその上司は気にくわないからといって辞表を叩きつけたりしないはずだ。
その場合、他の事でストレスを発散しようと考えるはずだ。
カラオケ?ショッピング?ヨガ?旅行?阪神タイガースの応援?
最後のやつは個人的におススメだ。甲子園で負けている時のタイガースファンは「お前ら本当にタイガースのファンなのか?」と言いたくなるくらいヤジが飛ぶ。それがみな面白く一緒になって野次を飛ばしてもいいし、ただ笑うだけでもストレス解消になる。
コロナ禍の今は控えるべき解消方法も多いが、それでも静かな音楽を聴いたり、友達とWEB飲みをしたり、いくらでもストレス発散の方法はあるはずだ。
「あー、ウェディングの準備って面倒!今日はちょっと買い物にでも行こう!」
それでよいのだ、ウェディングの準備は楽しいし幸せな時間だが、同時に初めてのことなのだからストレスがたまって当然。結婚準備がストレスだなんて言ったらいけないのでは?と思っているなら大間違いだ。
だから声を大にして言おう。「あー、ストレスたまるわー。」と。
主役はあなただけではない
かしこいあなたならもう気付いたと思うが、それらのストレスは決してあなたにだけ起きているわけではない。
あなたはまだ結婚式に前向きだが、仮に彼が「まあ、君の好きなようにやりなよ。」という人だった場合、彼のストレス度はいかほどだろうと想像したことがあるだろうか?
「あまり興味ないって顔してても彼女が怒るしな、でも本当にどうでもいいんだけど。」なんて思っていたら。
「うちの課の仕事、本当は好きじゃないんだけど、ここで真面目にやっておかないと来年希望の部署に異動できないもんな。」と働いているとしたら。と同じだけストレスがかかっているはずだ。
マリッジブルーになっていないお嫁さんがもしこの記事を読んでいるとしたら注意して読んでほしい。あなたにとってウェディングは幸せいっぱいでストレスゼロのイベントだったとしても彼はどうだろうか?
また、「はあ。」なんてため息をつく彼に「結婚式は二人の事よ!真面目にやって!」なんて言っていないだろうか?
それはマリッジブルーではなくマリッジハラスメントだ。(マリハラ?なんかカワイイ)
私が色々なカップルにおススメしているのがお手紙の読み合いだ。「は?超ハズイんですけど。」ということなかれ。やると意外と難しいことに気付き、お手紙を書き終わった後気付くはずだ「ああ、相手についてこんなに真剣に考えた事あっただろうか?」と。
二人の距離が近ければ近いほど、その事実に愕然とすることだろう。
お手紙のテーマは
「こんな家庭にしたいと思っている。」
「結婚してくれてありがとう。」
「お互いの両親について。」
など何でもよいのだ。書いている時間相手の事を考えている。これが大事。
提案している私とてかなりハズイが是非やってみてほしい。
ただし、間違ってもその手紙をとっておくことなかれ。結婚して10年後に見たら恥ずかしくって死にたくなるので。
まとめ
まとめると。
・ウェディングはストレスがあって当たり前。
・他で受けるストレスと同様、発散・解消しよう。
・そのストレスはパートナーも感じている。
・出来ることならパートナーと一緒に解消しよう。
誰がつけたかマリッジブルー。なんか素敵な響きだ。
だがそんな名前をつけたがために世の中のお嫁さん達をかえって悩ませることになってしまったように思う。
これが、「結婚前幼児性我儘症候群」とか「婚前自己中心的幼児帰り」とか救いようのない呼び名だったらかかる人いないんじゃないだろうか。