ベールとは?
「二人を隔てるそのベールは、もう必要ありませんね?それでは●●さん(新郎の名前)、ベールをあげてクダサイ。」
結婚式のクライマックスです。
新婦の顔を覆うベールをちょっと腰引けた新郎がぎこちなく上げて、ぎこちなくキス。
ああ、このベールアップの仕方…!どうしてもっと練習しなかったのか?と後でビデオなどを見て後悔することが多いのです。
ぷちばけでは、結構何回も練習します。
普段は「まあ、いいんじゃない?」とか言ってる私たちですが、ここだけは鬼軍曹状態です。一生残る写真や動画、格好よくベールアップしたいですよね。
というわけで今回はベールについて掘り下げてみようと思います。
素敵なベールの選び方についてはいずれお教えするとして、今回はベールって何?という謎に迫ってみます。
ヴェール(veil) – 女性用の帽子として用いる薄い布。ウエディングベールなど。多くは頭の上から顔を隠すように被せる。中東などでは宗教上の理由や日差しを避けるために日常的に用いられる(ヒジャブ)。かつては悪魔などから身を守る効果があるともされた。
ウィキペディアで調べるとこんな感じです。
悪魔から身を守る効果って…ロールプレイングゲームの「聖水」(使うと敵が寄って来ない)的な?すごいアイテムですね…。
心霊スポットに無断で凸するユーチューバーさん達に教えてあげたいです。
また、中東では宗教上の理由により女性が外出する際は、人に顔を見せてはいけないという国もあるそうです。こちらは欧米のベールとはかなり意味が違いそうな気もします。
意外と知らない事実
国によって習慣の違いはありますが、女性が顔を隠す文化が世界中にあることは間違いないようです。
世界中の女性が「ああ、顔を出すと悪魔に憑りつかれてしまう!顔を隠さなきゃ!」と思っていたのでしょうか?
そこには意外な事実が隠されていました。
時は古代ギリシア時代から遥か昔。
「結婚」は愛する者同士が一緒になるという前提ではなく、一族と一族を繋ぐものでした。一部の豪族や貴族が安寧や勢力拡大のために「結婚」という制度を利用していた時代があったのです。
そして、その結婚式はひっそりと行われては意味がなく、近隣諸国に対して「我々は親戚になったぞ。」と大々的に宣伝する必要があったわけです。
花嫁側の一族は豪華絢爛な行列を作り、近隣諸国を回りながら花婿の一族の元へ向かうわけです。
このことは絶大的な宣伝効果があるのと引き換えに、いつ敵対勢力や山賊・盗賊の類いに襲撃されるか分からない、という危険が伴いました。
実際に何組もの行列が襲撃され、何人もの花嫁の命が奪われました。
そこで、とある貴族が一計を案じます。
行列の中にたくさんの馬車を用意し、それぞれに花嫁と同じドレスを着た女性を座らせ、誰が花嫁か分からなくしたのです。また、花嫁の顔を見知っている敵がいる可能性があるので、布で覆って顔を隠したのです。
そう、これがベールのはじまり。
勘の良い方はお気付きかと思いますが、花嫁と同じドレスを纏いそれぞれの馬車に乗り込んだ勇気のある女性達、これがブライズメイドのはじまりです。ブライズメイドに未婚の女性を選ぶのは、もし本物の花嫁が残念ながら命を落とした場合、代わりに花嫁として嫁ぐことも有り得たからです。
そのため、ブライズメイドには花嫁と比較的身分の近い未婚女性から選ばれたというわけ。
ベールアップ後、まさかの・・・?
「様々な苦難を命がけで乗り切って、ようやく僕の元へたどり着いてくれた。」なんてロマンチックなベールアップばかりだったかというとそうでもないみたいです。
ある国ではなんと「チェンジ!」が認められて時代があったそうです。
その時代、大抵の新郎新婦は結婚する時に初めて顔を合せるのが普通。
結婚式の当日、ベールアップするまでお嫁さんの顔を知らないなんて当たり前だったのです。
ベールをアップした瞬間「やあ、はじめまして。僕のお嫁さん。」なんて爽やかに笑ってくれる素敵な王子様だったらどんなに幸せでしょう。
残念ながらその時代の新郎新婦の年齢は新郎が14~18歳、新婦は11~15歳くらい。そんな子供に前述した爽やかなセリフなど言えるはずもなく(そんな事言える王子様は逆にその後お嫁さんが苦労することでしょう。)大抵は微妙な顔をして「うむ。」とか「ぐむ。」とか言ったに違いありません。
新婦の方も同様です。ベール越しにぼんやりと見えるものの、女性がジロジロと男性の顔を見続けられるわけもなく遠慮がちにちらっと数回見る程度。
ベールアップの瞬間「あ、当たり!」とか「うっ、はずれ。」(ひどい!)とか思ったでしょうね・・・。
さて、どんな時代にもルールを平然と破っていく、破天荒でワガママな王子様が一定数現れます。
とある国の王子様。ベールアップした瞬間に「気に入らない。変えてくれ。」と言い放ち、その場でブライズメイドとして列席していた花嫁の妹を結婚相手に選んだとか・・・。
女性の敵!!
許せん!!!
花嫁の立場は!!
この話にはオチがあって、チェンジされてしまった姉のことをワガママ王子の弟が見初めてその場で求婚したとか。
もしかすると、弟の為に兄がワガママ王子の振りをしたとかだったら美談なんですけど・・・。
残念ながらその一件以来、その国では結婚式当日のチェンジという恐ろしいシステムが横行したそうです。ただし、本来は一族が勢力を拡大するための結婚ですから、このシステムは長続きしなかったようです・・・。
意外と知らない事実
さてさて、ベールにまつわる伝説はそれ以外にもあります。
冒頭に述べたように、中東の女性達は宗教上の理由で「女性は外では顔を見せない」ため、目だけを出して顔を覆っています。
そもそも何故「女性は外では顔を見せない。」のでしょうか?
これは、彼等の教義の中に「女性として魅力ある部分は秘めておきなさい。」という教えがあるからです。本来は目の部分も薄い布で隠すのが望ましいみたい。そして、その魅力のある部分を見せて良い相手は夫だけなんだそうです。
その教えの源は「男性は女性の魅力に弱い。時としてそれがトラブルの元になる。」という考えなのです。(ものすごくかみ砕いた説明で、すみません。)
つまり、彼等はその昔から「女性の魅力」にとてもパワーがあるってことを認めていたってことです。
つまり女性に顔を隠せなんて男尊女卑的な発想かと思いきや、それは逆で女性の力にある一定の敬意や畏怖を持っていることがうかがえます。
女性陣は何だか誇らしい気持ちになりますね。
楊貴妃やクレオパトラがその美貌で歴史を変えた話は有名です。
男性の歴史的人物でイケメンだから歴史が変わったなんて話聞かないですものね。
その他にも何故顔を隠すのかというと「悪魔は体に空いている穴という穴から入って来るから」という考えもあるようです。つまり、口・鼻・耳ですね。
この考え方の方が現実的です。
太古の昔から人類はウィルスと戦ってきました。現代人類はその正体を科学の力で知ることが出来ますが、当時の人類は何が起きてるのか分からなかったことでしょう。村人が全員同じ症状で亡くなっていく様は悪魔の仕業だと思ったに違いありません。
しかし、人類は本能的に知っていたのでは?悪魔≒ウィルスは口や鼻から入ってくることを。
もしかすると遠い私たちの子孫は「当時はマスクなんてものをしてうつすのを防ごうとしていたらしい。無知すぎる。」とか「菌を少しだけ体にいれて抗体を作ろうとしていたらしい。どんだけ野蛮だよ!」などと言っているかも知れません。
言い伝えを知って素敵なウエディングを
ウェディングにまつわる言い伝えは、表面的には美しくて素敵な言い伝えが多いのですが、掘り下げていくと意外な史実があったりします。
そんなことを知っておくとご自身の結婚式に対して、もっと興味が出てよりドラマチックなウェディングになるかも知れません。
ぷちばけの結婚式は別荘や邸宅でのウェディングです。
伝説や言い伝えを継承した「伝統と格式」って感じとは程遠いけど、
「知っている」ってことを大事にしたいのです。
「知らないでくずす」のはかっこ悪いけど、
「知っていてくずす」のはアリなのかなと思います。
私達もまだまだ知らないことがあり、お二人に相応しい言い伝えや伝説を探すのも楽しみの一つです。
それがそのままコンセプトになるかと言えば微妙な伝説もあります。
例えば、お二人の結婚式の日は
「今日はその昔、お酒の神様が酔っぱらって浮気をし、大神に怒られ星になったとされる日ですよ。」とか言われても微妙ですよね・・・。
でもまあ、そんなことも含めてウェディングを楽しみましょう!!