男は大抵過去の出来事を盛る。
年齢と共に盛り方がひどくなる。
想い出を美化しているなんてかわいいもんじゃない。
単なる経歴詐称だ。
笑い話のネタとしてなら結構だが、
当の本人はそれで自分の株が上がると信じて疑わない。
若い頃、とある立ち飲み屋でアルバイト先のおっさん達と飲んだことがある。
作業服を着た明日の仕事もままならない人達が安酒でうっぷんを晴らすというコミュニティサロン。
席という概念がないので酔うと誰かれかまわずおっさん達は話しかけてくる。
とくに若い子が標的だ。
「人生とは」という壮大で絶対にお前らから聞きたくないというテーマについて語りかけてくる。
若い子がちょっとでも「人生について」なんて意見を言おうものなら
「わかってないな、俺の若いころは…。」という話がはじまる。
曰く「●●という会社の社長と知り合いで。」「昔は●●というモデルと付き合っていた。」「一時期は●●円という資産を運用していた。」など…。
それはもうファンタジーの世界だ。
話しが真実だとすると、この立ち飲み屋に集まったおじさん達が日本を動かしていたということになる。
男が自分で語る履歴は信じてはいけない。
3割、いや7割減で聞いておいてお釣りがでる。